「“美津子さんのため”、ね。それで俺は祖母さんの見つけてきた相手と見合いをして、君はこれから婚活するというわけだ」
「へ? 婚活?」
「あんな大きな声で婚活するって騒いでいたらフロア中に聞こえるぞ」
「もしかして、あの時、近くにいたの!?」
今日和輝はどれだけ未来を驚かせるつもりなのだろう。
「昼休み前に佐野さんとミーティングスペースで打ち合わせをしていたら、君が営業の尾形とじゃれあう声が聞こえてきた。彼とずいぶんと仲がいいんだな」
フロアに点在しているミーティングスペースのどこかでしっかり聞かれていたらしい。
「最後まで聞いてなかったの? あれは、尾形君の勘違いで。婚活するつもりはないの」
「そうか。でも、全く考えないわけではなかったんだろう? 君は昨日言ってたな。長年片思いしていた相手に失恋したから、次の恋愛に行くために経験しておきたいと。だったら次の恋愛もその先の結婚相手も俺でもいいわけだ。婚活するくらいなら俺で手を打てばいいだろう」
「――冗談、だよね」
和輝はわずかに首を傾げつつこちらを見つめてくる。
「へ? 婚活?」
「あんな大きな声で婚活するって騒いでいたらフロア中に聞こえるぞ」
「もしかして、あの時、近くにいたの!?」
今日和輝はどれだけ未来を驚かせるつもりなのだろう。
「昼休み前に佐野さんとミーティングスペースで打ち合わせをしていたら、君が営業の尾形とじゃれあう声が聞こえてきた。彼とずいぶんと仲がいいんだな」
フロアに点在しているミーティングスペースのどこかでしっかり聞かれていたらしい。
「最後まで聞いてなかったの? あれは、尾形君の勘違いで。婚活するつもりはないの」
「そうか。でも、全く考えないわけではなかったんだろう? 君は昨日言ってたな。長年片思いしていた相手に失恋したから、次の恋愛に行くために経験しておきたいと。だったら次の恋愛もその先の結婚相手も俺でもいいわけだ。婚活するくらいなら俺で手を打てばいいだろう」
「――冗談、だよね」
和輝はわずかに首を傾げつつこちらを見つめてくる。



