「……っ、大丈夫か?」
大きくて温かい掌が労わるように結乃の髪や頬を撫でてくれる。
「ん……」
大丈夫だと伝えたくて、未来は縋る手に力を込めた。
「は、未来……」
じっとしていた和輝の身体はやがて明確な意志をもって動き始める。
未来はただ夢中でその身を委ねていった。
『かずくん、だいじょうぶ?』
黒い服を着た人たちが大勢行き交う中、詰襟の制服を着た和輝の顔を見て未来は胸がぎゅっと苦しくなった。
涙を流しているわけでもなく、悲痛な声を上げているわけでもない。ただ感情が抜け落ちた表情で立っているだけ。
でも未来は和輝が深い悲しみの中にいると思った。
優しく、ときにからかいながら遊んでくれる大好きなお兄ちゃん。
和輝の悲しみが痛々しくて、笑って欲しくて、いてもたってもいられなかった。
未来は繋いでいた母の手を振りほどいて和輝に駆け寄り、制服の足元に取りすがって夢中で言った。
『かずくん、かなしいの? 未来、かずくんに笑ってほしいの。どうしたらいい? あのね、未来、大きくなったらかずくんの……』
(かずくんの……)
大きくて温かい掌が労わるように結乃の髪や頬を撫でてくれる。
「ん……」
大丈夫だと伝えたくて、未来は縋る手に力を込めた。
「は、未来……」
じっとしていた和輝の身体はやがて明確な意志をもって動き始める。
未来はただ夢中でその身を委ねていった。
『かずくん、だいじょうぶ?』
黒い服を着た人たちが大勢行き交う中、詰襟の制服を着た和輝の顔を見て未来は胸がぎゅっと苦しくなった。
涙を流しているわけでもなく、悲痛な声を上げているわけでもない。ただ感情が抜け落ちた表情で立っているだけ。
でも未来は和輝が深い悲しみの中にいると思った。
優しく、ときにからかいながら遊んでくれる大好きなお兄ちゃん。
和輝の悲しみが痛々しくて、笑って欲しくて、いてもたってもいられなかった。
未来は繋いでいた母の手を振りほどいて和輝に駆け寄り、制服の足元に取りすがって夢中で言った。
『かずくん、かなしいの? 未来、かずくんに笑ってほしいの。どうしたらいい? あのね、未来、大きくなったらかずくんの……』
(かずくんの……)



