それでも、彼が次に言葉を発するまでの沈黙はとても重く、長く感じた。
「――言ってる意味、解ってるのか?」
彼の表情は非常に硬いものに変わっているが、未来は構わず続ける。
「うん。もちろん」
「そんなこと――」
出来るわけ無いと続くのを遮って未来は続ける。
「えっとね、実は私すごい好きな人がいたんだけど、片思いでつい最近失恋しちゃったの。でもこれから前向きに恋愛はしたいと思ってて。でもあの、恥ずかしながら、なんというか、今までそういう経験が全く無くて。ほらもう25歳だし?何も知らないっていうのはこの先男の人と付き合うにしてもハードルが上がっちゃう気がして。その点和くんは誰よりも信頼できるから……」
しどろもどろになりつつ、夢中でまくしたてる。それでも最後の言葉ははっきり言い切った。
「和くんに教えてほしい」
未来は長年の想いを告白するより、酔いに任せて大胆な我儘を言って玉砕する方を選んだのだ。
ふたりの間に再び沈黙が落ち、和輝のウイスキーグラスの氷が立てたカランという音がやけに大きく聞こえた。
「――言ってる意味、解ってるのか?」
彼の表情は非常に硬いものに変わっているが、未来は構わず続ける。
「うん。もちろん」
「そんなこと――」
出来るわけ無いと続くのを遮って未来は続ける。
「えっとね、実は私すごい好きな人がいたんだけど、片思いでつい最近失恋しちゃったの。でもこれから前向きに恋愛はしたいと思ってて。でもあの、恥ずかしながら、なんというか、今までそういう経験が全く無くて。ほらもう25歳だし?何も知らないっていうのはこの先男の人と付き合うにしてもハードルが上がっちゃう気がして。その点和くんは誰よりも信頼できるから……」
しどろもどろになりつつ、夢中でまくしたてる。それでも最後の言葉ははっきり言い切った。
「和くんに教えてほしい」
未来は長年の想いを告白するより、酔いに任せて大胆な我儘を言って玉砕する方を選んだのだ。
ふたりの間に再び沈黙が落ち、和輝のウイスキーグラスの氷が立てたカランという音がやけに大きく聞こえた。



