和輝の声が柔らかくなった気がした。未来は触れていた右半身をさらに和輝にもたれさせた。
「ううん、もう別の日は無いんだ。和くんとふたりで会うのも、今日が最後」
頭を撫でていた手の動きが止まった。
「こうやって和くんに誕生日祝ってもらうのは今年で終わりにしたいの」
「……なぜだ?」
「いくら子供のころからの付き合いで、家族みたいだとしても、本当の兄妹でもないのにいつまでもふたりきりで祝ってもらうなんて、お相手がいい気がしないと思う」
きっと近々和輝の結婚相手が決まる。未来が決心しなくても来年からは彼とふたりでは会えない。
(でも、今日まで……今日だけは許してほしい)
何かに許しを請う気持ちで未来は続けた。
「だから、欲しいものというか、お願いしたいことがあって」
持たれかけていた体を離し未来は和輝の顔を見た。どこか自分ではない誰かがしゃべっているような感覚を覚えながら。
「私の初めてを、もらってほしいの」
こちらを見る和輝の形の良い目が思い切り見開かれた。
その表情を見て未来は不思議と嬉しくなってしまった。
いつも冷静で余裕のある和輝に、自分がこんな顔をさせる事ができるんだと。
「ううん、もう別の日は無いんだ。和くんとふたりで会うのも、今日が最後」
頭を撫でていた手の動きが止まった。
「こうやって和くんに誕生日祝ってもらうのは今年で終わりにしたいの」
「……なぜだ?」
「いくら子供のころからの付き合いで、家族みたいだとしても、本当の兄妹でもないのにいつまでもふたりきりで祝ってもらうなんて、お相手がいい気がしないと思う」
きっと近々和輝の結婚相手が決まる。未来が決心しなくても来年からは彼とふたりでは会えない。
(でも、今日まで……今日だけは許してほしい)
何かに許しを請う気持ちで未来は続けた。
「だから、欲しいものというか、お願いしたいことがあって」
持たれかけていた体を離し未来は和輝の顔を見た。どこか自分ではない誰かがしゃべっているような感覚を覚えながら。
「私の初めてを、もらってほしいの」
こちらを見る和輝の形の良い目が思い切り見開かれた。
その表情を見て未来は不思議と嬉しくなってしまった。
いつも冷静で余裕のある和輝に、自分がこんな顔をさせる事ができるんだと。



