別れを決めたので、最後に愛をください～60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す～

「そんな爪痕は残したくありませーん。第一和くん困らせたくないし」

「あんたはすぐそうやって人の事ばっかり気にするけど、たまには自分の好き勝手にやってもいいと思わよ……あら、美味しいわね」
　雪成はサフランライスと海老を一度に大きな口で頬張って「まあいいけど」と続ける。

「それで、諦めた後未来はどうすんの？　新しい恋でも見つける？」

「うーん、確かに。今までずっと和くんしか見てこなかったからピンと来ないけど」

　結婚もしたいし、子供も好きだから欲しいと思っている。自分の子供は夫婦で愛情を注いで育てるのだ。
　家族が揃って笑い会える時間を大切にしたい。結婚相手は家庭を大事にする同じ価値観の人であって欲しいと思う。そのくらいの理想はあるのだ。

「なら、婚活でもしてみたらいいんじゃないの？」

「婚活？　早すぎない？」

　雪成の思いがけない言葉に未来は首をかしげる。