うん、とうなずいて未来は遠い目をする。
――とっても綺麗で何でも持っている自信にあふれた人だった。
5年ほど前から和輝は女性と交際していないはずだ。美津子の話だと女性からのアプローチも次々持ち込まれる見合い話も断っていたようだ。
しかしここにきて和輝が結婚する気になっているという。
「きっと“彼女”の事は吹っ切ったんだろうね。それに、結局のところ猪瀬家の最大権力者は女主人である美津子さんだし、なんだかんだで和くんもお祖母さんを大事にしているから」
美津子に強く言われたらお見合い位するだろうし、本人がその気になりさえすれば結婚までトントン拍子に進むはずだ。
頼んでいたパエリアが運ばれてきたので、それぞれ取り皿によそう。ふわっと立ちあがる湯気と共に魚介のいい香りがしてくる。
「次の誕生日で、和くんとふたりで会うのは最後にする」
「なによ、結局告んないつもりなの?」
「告白したら和くんが困った顔するのわかってるし、その後気まずいよ」
和輝が結婚したからといって未来が猪瀬家との関係をいきなり断つわけにはいかない。
――とっても綺麗で何でも持っている自信にあふれた人だった。
5年ほど前から和輝は女性と交際していないはずだ。美津子の話だと女性からのアプローチも次々持ち込まれる見合い話も断っていたようだ。
しかしここにきて和輝が結婚する気になっているという。
「きっと“彼女”の事は吹っ切ったんだろうね。それに、結局のところ猪瀬家の最大権力者は女主人である美津子さんだし、なんだかんだで和くんもお祖母さんを大事にしているから」
美津子に強く言われたらお見合い位するだろうし、本人がその気になりさえすれば結婚までトントン拍子に進むはずだ。
頼んでいたパエリアが運ばれてきたので、それぞれ取り皿によそう。ふわっと立ちあがる湯気と共に魚介のいい香りがしてくる。
「次の誕生日で、和くんとふたりで会うのは最後にする」
「なによ、結局告んないつもりなの?」
「告白したら和くんが困った顔するのわかってるし、その後気まずいよ」
和輝が結婚したからといって未来が猪瀬家との関係をいきなり断つわけにはいかない。



