未来はドアを閉め言われたとおり内側から鍵をかけた。
靴を脱ぎ部屋に入ると反対側の窓辺に立ち、和輝が車に乗り、帰っていくのを見送った。
「……結局私は和くんの妹のままだったんだなぁ。それもいつまでも頼りない妹」
先ほどまでマフラーから感じていた彼の温もりも香りもあっさりと消え去り、今、首元に感じるのはこの部屋のひんやりとした空気だけだった。
未来は中学2年生の時に母を亡くしている。
元々園田家は父孝志と母ゆりえ、未来の3人家族だった。
父は都内に本社のある製薬会社に勤める優秀な研究者でとにかく研究に人生の9割5分を掛けるような人だった。
一度プロジェクトが始まると国内海外問わず研究施設入ってしまい、長期間家に帰らないし、家にいる間も書斎に閉じこもり仕事ばかりしていた。
『お父さんは病気で苦しむ人の為にがんばってお薬を作ってくれているのよ』
母はそう言っていたが、時折寂しそうな顔をしていたから、きっと我慢していたのだと思う。
靴を脱ぎ部屋に入ると反対側の窓辺に立ち、和輝が車に乗り、帰っていくのを見送った。
「……結局私は和くんの妹のままだったんだなぁ。それもいつまでも頼りない妹」
先ほどまでマフラーから感じていた彼の温もりも香りもあっさりと消え去り、今、首元に感じるのはこの部屋のひんやりとした空気だけだった。
未来は中学2年生の時に母を亡くしている。
元々園田家は父孝志と母ゆりえ、未来の3人家族だった。
父は都内に本社のある製薬会社に勤める優秀な研究者でとにかく研究に人生の9割5分を掛けるような人だった。
一度プロジェクトが始まると国内海外問わず研究施設入ってしまい、長期間家に帰らないし、家にいる間も書斎に閉じこもり仕事ばかりしていた。
『お父さんは病気で苦しむ人の為にがんばってお薬を作ってくれているのよ』
母はそう言っていたが、時折寂しそうな顔をしていたから、きっと我慢していたのだと思う。



