別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~

「未来が娘になるって一番はしゃいでいたのは父さんでしょう。おかしくないですか」

 和輝の眉間に皺がよるのが分かった。
 
 和輝は周囲から冷静で何を考えているかわからないとよく言われる。
 しかし、未来に関することだと割とわかりやすく感情が顔に現れるのだ。自惚れかも知れないけれど、想いが通じてから特にそれを実感している。

「お、おじさんどうしたんですか? そろそろ時間ですけど」

 未来が慌てて間に入ると貴久は気付いたように、大事そうに持っていた一枚の写真をこちらに差し出すようにして見せた。

「お母さんたちも会場でふたりの幸せな姿を見てもらおうと思って探してたんだ。やっと見つかってね。いい写真だろう?」

「これ……」
 
 写真を見て未来は思わず声を漏らした。

 そこには和輝の母晶子、未来の母ゆりえ、小学生の和輝と2、3歳の未来が屋敷の庭の薔薇をバックに一緒に写っていた。和輝と未来は手を繋ぎ、母たちはその後ろで笑顔を浮かべている。

 その穏やかな表情を見て、様々な感情が一度に溢れそうになる。

 貴久は微笑みながら手元の写真に語りかけた。

「晶子、ゆりえさん。君たちが残してくれたこの小さな子供たちは立派に成長したよ。ちょっと遠回りしたらしいけど、今日無事に結婚したんだ。これからもふたりで天国から見守ってやってくれ」