和輝も突然変わった雪成の雰囲気に何かがおかしいことに気が付いたのか、少し声のトーンを変えた。

「君は……」

「私は未来の大大親友。“和くん”のことはずっと未来から聞いてたし写真も見てたけど、実際ご尊顔を見るのは初めてね。イケメンが過ぎてちょっと引いてるわ」

 完全に女性の口調で答える雪成に和輝が当惑を深めていくのが分かった。

 未来も別の意味で聞きたいことがありすぎるのだが、雪成は構わず話し続ける。

「てことで、未来を連れて帰ってもらえるかしら。それと未来、振り回すとか弄ぶとか解せないワードについては確認しておいてよ。イケメンに嫌われるの切ないじゃない。さっきの顔、ちょー怖かったし」

 わざとらしくシナを作る雪成の様子に察するものがあったのか、和輝は引き寄せる腕の力を少し緩めた。

「君の言う通り、未来とちゃんと話をする必要がありそうだ。すまないが今日は失礼する――未来、帰ろう」

「でも……」

「もー、さっさと行って。この修羅場っぽい雰囲気の後、ひとり残される私の身にもなってちょーだい」

 雪成はヒラヒラと手を振り躊躇している未来を促す。