「あのさ、未来、オネェの嗅覚ナメてもらっちゃこまるのよ。いくら幼なじみでも普通二十歳過ぎた女の誕生日を欠かさずふたりだけで祝う? 頼まれたからって初めてをペロリといく? その上なんだかんだ理由つけて自宅に連れ込むなんて、そんなの絶対執着されてるでしょーが」

「ねえ、ユキちゃん、何を言っているの?」

 なんだろう、とてつもなく嫌な予感する。

「あんたたち、お互いを気遣いすぎて拗らせまくってるだけよ。それもかなりの時間を寝かせてるからタチが悪いったら。梅干しならもうしょっぱくて食べれないわよ。ちゃーんとお腹を割って話しなさい」

 「いらっしゃいませー!」という店員の声が聞こえたタイミングで雪成は未来にグッと顔を寄せ、内緒話をするように耳打ちした。

「御曹司召喚完了」

「え……」

 困惑が極まった瞬間、雪成から剥がされるように強引に肩を引かれる。

「未来から離れてくれないか」

 驚いて見上げると傍らに少しだけ息を上げた和輝が立っていた。