受け取ったコートに袖を通してから玄関を出て和輝とふたり車庫に向かう。
「無理に祖母さんに付き合わないでもいいんだぞ。せっかくの週末の夜、君も予定があるだろう?」
「大丈夫だよ。別に予定があるわけじゃないし、私も美津子さんやおじさんと会いたいし」
和輝に言われて未来は素直に答えた。
(もちろんふたりにも会いたいけど、一番会いたいのは和くん……だったんだけどね)
「いつも送ってもらってごめんね。和くんだってお仕事で疲れてるのに」
未来が夜、屋敷を訪れるときは和輝が車で送ってくれる。
電車のある時間なら自分で帰れると言っても彼は絶対に譲ってくれないのだ。
「いや、構わない……未来、マフラーはしてこなかったのか?」
未来の首元を見て和輝がわずかに顔を顰めた。
「3月になるとさすがにね」
季節が春に入っているのにマフラーを巻くのは季節外れな気がして、最近は多少首元が寒くても身に着けていない。
「今日は寒かったし、夜は特に冷えるだろう――ほら」
和輝は手にもっていた自分の薄手のマフラーを強引に未来の首にかけてくる。
「あ、ありがとう」
「未来は寒がりだからな」
「無理に祖母さんに付き合わないでもいいんだぞ。せっかくの週末の夜、君も予定があるだろう?」
「大丈夫だよ。別に予定があるわけじゃないし、私も美津子さんやおじさんと会いたいし」
和輝に言われて未来は素直に答えた。
(もちろんふたりにも会いたいけど、一番会いたいのは和くん……だったんだけどね)
「いつも送ってもらってごめんね。和くんだってお仕事で疲れてるのに」
未来が夜、屋敷を訪れるときは和輝が車で送ってくれる。
電車のある時間なら自分で帰れると言っても彼は絶対に譲ってくれないのだ。
「いや、構わない……未来、マフラーはしてこなかったのか?」
未来の首元を見て和輝がわずかに顔を顰めた。
「3月になるとさすがにね」
季節が春に入っているのにマフラーを巻くのは季節外れな気がして、最近は多少首元が寒くても身に着けていない。
「今日は寒かったし、夜は特に冷えるだろう――ほら」
和輝は手にもっていた自分の薄手のマフラーを強引に未来の首にかけてくる。
「あ、ありがとう」
「未来は寒がりだからな」



