勤め先の経営トップに君臨する人物だ。
本来なら一般社員の自分がこうして気軽に会話が出来るような相手ではない。
会社での印象は温厚だが指導力のあるどっしり構えた威厳のある社長というイメージの貴久。
でも、未来にとって幼いころから知っている彼は『優しくて大好きなおじさん』だ。
貴久も娘のようにかわいがってくれているから未来もこの家に来るときは、あえて以前と同じように接しているし、仕事の話はしないようにしている。
会社でも猪瀬家と縁があることは隠しており、そのことを知る人間はごくわずかだ。創業一族と個人的な関りがあると周りに知られて、万が一穿った目で見られたり仕事がやりにくくなるのが嫌だからだ。
しばらく3人で談笑していると美津子が思い出したかのように言い出す。
「そういえば、未来ちゃんにはいい人いないの?」
「えっ」
急に振られた話に未来はギクリと肩を震わせる。
「い、いい人って、美津子さんたらいきなりどうしたんですか」
「だって女子会って言ったら”恋バナ”でしょう?」
美津子は物知り顔で微笑む。
「そうだな、未来ちゃんはかわいいからモテるだろう」
貴久まで前のめりで話に加わってきた。
本来なら一般社員の自分がこうして気軽に会話が出来るような相手ではない。
会社での印象は温厚だが指導力のあるどっしり構えた威厳のある社長というイメージの貴久。
でも、未来にとって幼いころから知っている彼は『優しくて大好きなおじさん』だ。
貴久も娘のようにかわいがってくれているから未来もこの家に来るときは、あえて以前と同じように接しているし、仕事の話はしないようにしている。
会社でも猪瀬家と縁があることは隠しており、そのことを知る人間はごくわずかだ。創業一族と個人的な関りがあると周りに知られて、万が一穿った目で見られたり仕事がやりにくくなるのが嫌だからだ。
しばらく3人で談笑していると美津子が思い出したかのように言い出す。
「そういえば、未来ちゃんにはいい人いないの?」
「えっ」
急に振られた話に未来はギクリと肩を震わせる。
「い、いい人って、美津子さんたらいきなりどうしたんですか」
「だって女子会って言ったら”恋バナ”でしょう?」
美津子は物知り顔で微笑む。
「そうだな、未来ちゃんはかわいいからモテるだろう」
貴久まで前のめりで話に加わってきた。



