昨日未来と話した後、和輝がオーナーに電話して個室を押えてくれた。
なんでも仕事の会食に使うことが多く、顔が利くらしい。
落ち着いていながら仰々しくない店の雰囲気は、カジュアルな会食、そしてぎこちない関係の父娘の食事の場に合っている。
父と会うのは去年のお盆以来、約1年弱ぶりだ。
細い体つきで猫背気味、度のきつい眼鏡をかけた父は硬い顔をしているが、前に会った時より顔色はいいし、服装もきちんとしている。一緒に暮らす女性が世話を焼いてくれているからだろう。
ふたりとも休日ランチ限定メニューのミニ懐石料理を注文した。
「でも確かに急だからびっくりしちゃった。来月の引っ越しに向けた下見なんだよね。えっーと、彼女さんはつれてこなかったの? そのうち会わせてもらえるのかな」
食事に箸を伸ばしながら会話を弾ませようと明るく言ったものの、父はなぜか思い詰めた顔になった。
「お父さん?」
「未来、お父さんに再婚する資格はあるんだろうか」
「え?」
「未来は……お父さんを恨んでいるだろう?」
思いがけない言葉に驚いていると、堰を切ったように父が話し出した。
なんでも仕事の会食に使うことが多く、顔が利くらしい。
落ち着いていながら仰々しくない店の雰囲気は、カジュアルな会食、そしてぎこちない関係の父娘の食事の場に合っている。
父と会うのは去年のお盆以来、約1年弱ぶりだ。
細い体つきで猫背気味、度のきつい眼鏡をかけた父は硬い顔をしているが、前に会った時より顔色はいいし、服装もきちんとしている。一緒に暮らす女性が世話を焼いてくれているからだろう。
ふたりとも休日ランチ限定メニューのミニ懐石料理を注文した。
「でも確かに急だからびっくりしちゃった。来月の引っ越しに向けた下見なんだよね。えっーと、彼女さんはつれてこなかったの? そのうち会わせてもらえるのかな」
食事に箸を伸ばしながら会話を弾ませようと明るく言ったものの、父はなぜか思い詰めた顔になった。
「お父さん?」
「未来、お父さんに再婚する資格はあるんだろうか」
「え?」
「未来は……お父さんを恨んでいるだろう?」
思いがけない言葉に驚いていると、堰を切ったように父が話し出した。



