別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~

 家で祝っているのなら、プレゼントを置いたらすぐに帰ろうと思いつつ部屋をたずねると、未来はひとりで父親は不在だった。

『和くんわざわざありがとう!』
 
 笑顔で迎えてくれる未来に思わずいぶかしげな声が出た。

『おじさんは?』

『お父さんは今日も仕事なんだ』

 何でもないように笑う未来。ひとりで夕食を終えたところだったようだ。
 ダイニングで出されたお茶を飲みながら、和輝の心に怒りが沸き上がった。

 今日は彼女にとって母親が亡くなって初めての誕生日だ。
 去年まで一緒に祝ってくれた母を亡くした現実を否応でも突き付けられるはずだ。
 いくら仕事とはいえ独りにしていいのか。こんなことなら屋敷に呼べばよかったと。

 すると、リビングの電話が着信し音を立てた。
 その瞬間、笑顔だった未来がビクッと大きく肩を揺らし顔色を無くす。

『未来?』
 
 和輝が声をかけると未来ははっと我に返った後立ち上がり受話器に手を伸ばす。しかしその手は震えていた。

 その時和輝は気が付いた。

 未来の母が事故に遭った日、搬送された病院から電話を受けたのは未来だ。
 その時彼女はひとりでこの部屋にいたはずだ。