「大丈夫か……っ」

昼間の太陽を吸い込んだ
生暖かいコンクリートに手を付く私を
覗き込むように誰かがしゃがんだ。

「……お…にぃちゃ…………ハァ…、ハァ…」

きっと、お兄ちゃんが助けに来てくれたんだ、と思った。

死んだ、とかそういうの全部嘘で、
私の勘違いで、夢で、
本当は生きてました、って、

そういう……オチかなぁ、って。

けど…、違ったみたい。

目が合ったその人は全くの別人だった。

ガッカリして視線を地面に貼り付けた時。

肩にその人が着てたジャケットが優しく掛けられた。

まだその人の体温が残ってて、
温かくて、背中がポカポカした。

震え上がった体がピタリ、と
止んだ瞬間だった。

「ハァ…………ハァ…」

「ゆっくり息吸え。な?」

ジャケットの上から
背中を何度も大きな手でさすられた。

「……」

しばらくそうされていたら
だいぶ呼吸は落ち着いてきて
ふいに、私は声を漏らしていた。

「もう最悪……」

この人に言ったって……しょうがないのに。

きっと私の事助けてくれたから
ありがとうございましたって
言わなきゃなのに。

「………オムライス食べたかっただけなのに」

全然違う言葉が出てきてしまった。