あぁ……泣くな、これ……。

「……っ」

「ふぇっ……」

「ほらほら、痛いの痛いの飛んでけー」

ちょっと誤魔化してみると収まったのか
ピタ、と沈黙が流れる。

「……」

あ…意外と大丈夫か…?

と、油断したのも、つかの間……

「うわぁあああああ……ん、あつかった……ぁ…」

だよなぁ……。


***

さらなる悲劇は
芹奈ちゃんの火傷の手当をした、
すぐ後の事だった。

ーーピーピー…

「あ、洗濯終わったみたいだな」

今度は洗濯機の音が響いた。

「……私っ、やるーっ!」

先程同様ムクっと立ち上がった芹奈ちゃん。

「いやっ……まだ指痛いだろ!?」

二の舞になったら困ると、静止しようとするがそんな俺をすり抜けて芹奈ちゃんは
洗面所に走っていってしまった。

「あっ、俺やるから座っ……」

ーービチャ…!!

ん……?なんだ?今なんか
水が零れたような音が……

………嫌な予感しかしない。

おそるおそる洗面所に向かうとそこには
水でびしょぬれになっている芹奈ちゃんが
ぺたり、と床に座りこんでいた。

「……」