「いや、俺は……」

部屋の隅で話し合いを聞いていた俺に
嵐が喝を入れるよう迫った。

総長、と言っても、本当に形だけ。

俺の口から最もらしい
言葉なんて何1つ出てこなかった。

「死なない程度に、しよう、…本当」

何とか絞り出した言葉に嵐が
いの一番で頷いてくれた。

「分かってますよ」

年下とは思えないような力強い笑みを見せられて、救われたような気持ちになった。


***

家に帰ってきたのは13時を過ぎた頃だった。

遅めの昼食を用意していたのだが……

ーーピーピー…

レンジの音が部屋に響き渡ったので
取り出そうと、立ち上がるが……

「……私っ、出すーっ!」

芹奈ちゃんがひと足早くムクっと
立ち上がってレンジの方に走っていった。

「あぁ、ありがとう、熱いから気を付け……」

「あつ…っ」

「え!?大丈夫か!?」

「……」

慌てて駆け寄ると、芹奈ちゃんは
びっくりしているのか口をパクパクさせて
火傷したであろう指をじーと見ていた。

「ちょっと見せてみろ…っ」

すぐに氷水で冷やしたけど
操り人形のように俺に
されるがままの芹奈ちゃんをチラッと見ると

「……っ」

目をうるうるさせて下唇を噛んでいた。