だって───────…
私が泣くとお兄ちゃんはいつも
「泣くなって」って
頭をぐしゃぐしゃしてくる。
本当はぐしゃぐしゃしないで欲しかったけど
昨日からずっと。どれだけ泣いてても
自分の頭がぐしゃぐしゃされてない事に
気付いて、そこでやっとお兄ちゃんは
もうこの世にいないんだ、って思った。
お兄ちゃんは何とかっていう暴走族?の総長で喧嘩ばっかりしてるんだー、怖ー。って
思ってたけど、私には優しかった。
ずっと前にパパとママは死んじゃって、
それからはずっとお兄ちゃんと2人で暮らしてたけど……それももうおしまいになっちゃった。
この先一生…私は、ひとりぼっち…。
お兄ちゃんが居ない”これから”は、
私……どうなるんだろう。
生きてけるのかな…。
もう……いっそこのまま……
この人達に殺された方が……楽かな。
もし、死んだらお兄ちゃんに会えるかな。
お兄ちゃん…………、
…………………………会いたいよー……。
”ずっと一緒”、って……約束、したのに……。
なんで、死んじゃったの……。
「……………おに……ちゃ………、ぁ”…」
抵抗も虚しく、目の前の男の思い通りになるしか無かった。
だんだんと意識が遠くなり始めて、
まだかろうじて動いていた足にも、手にも…
力が入らなくなっていき、
ダラン…、と重力のまま、
垂れ下がったその時。


