「おい、気絶させたら終わりだぞ」

「分かってるってぇ〜」

「……カハッ、あ‪”‬っ…」

その女の子の顔を見た瞬間。

「……………おに……ちゃ………、ぁ‪”…‬」

今にも消え入りそうなその声を聞いた瞬間。

俺は2人のうち、1人の男を殴っていた。

拳が震えて、震えて、仕方なかった。

「……その子に触るな」

込み上げてくる怒りをそのまま拳に込め、

「グハッ……」

もう1人も殴った。

「ハァッ…、ハァ…、、ケホッ……」

呆気なく白目をむく男2人の近くで
地面に手をついて咳込む女の子。

「大丈夫か……っ」

この子は……

芹奈ちゃんだ。

ひと目見てすぐに分かった。

会った事はないし、写真だって
見せてもらった事は1度もなかったが
すぐに分かった。

どこか海里さんを思い起こさせる、
その顔立ち…。

血の繋がりがある事は明白だった。

ちょうど制服を着ていて、
【藤影芹奈】と掘られた名札が
胸元に光っていたのを見て、
あぁ、やっぱりそうなんだ、と瞬時に思った。

「……お…にぃちゃ…………ハァ…、ハァ…」

苦し紛れに‪”‬お兄ちゃん‪”‬を求める
芹奈ちゃんを見て、
俺は申し訳なさでいっぱいになった。