「はっ……はぁはぁ…」

また…あの夢だ…………。

…………海里さんが死ぬ夢。

目が覚めてからも手の震えが収まらなくて
心臓がバクバク音を立ていた。

夢の余韻が残るままベッドから立ち上がると
部屋のドアが開き、芹奈が目を擦りながら俺のとこにやってきた。

「ももきぃー…。朝ごはんちょーだい」

「あぁ……今やるな」

「……」

震える手を押さえて笑ってみせると芹奈がじっと俺の顔を見た。

「ん?どうした?」

すると心配そうに芹奈が首を傾げた。

「……泣いてたの?」

「え?」

どうやら俺は泣いてたみたいで頬が軽く濡れていた。

「…泣いてねぇよ?」

そう返すが、芹奈はまだ眉を下げていた。
そしてしばらくすると俺に両手を伸ばした。

「だっこ」

「……」

驚いた。

芹奈が「だっこ」と言ってくるのは最初の頃の赤ちゃん期か、風邪を引いた時ぐらいだ。
今日は特に熱はないのに。

「はいはい、よいしょ…っ」

抱き上げると、ぐでーっととろけるように全身の力を抜いて俺の肩に顔を埋めた。

芹奈をだっこしながらリビングに行くとさっきまで震えていた手は収まっていて、心臓から嫌な鼓動は綺麗さっぱり消えていた。