【桃季side】
零愛の総長…海里さんが死んだ。
零愛と対立する暴走族・獄狂乱との
抗争で起こった悲劇だった──────…
どこか夢を見ているような感覚だった。
……夢で、あって欲しかった。
海里さんが死んだ…?
もうこの世に居ない…?
……なんだよそれ。
信じられる訳ねぇだろ。
幼い頃に両親に捨てられ、
ずっと児童養護施設で過ごしてきた俺には
居場所というものが常になかったように思う。
そんな俺に”零愛”という居場所を
与えてくれたのが
総長の藤影海里さん。
海里さんは妹さんの話ばかりする
明らかなシスコンだった。
口を開けば「今日芹奈がなー…」だ。
だけど、妹さんの…芹奈ちゃんの話を
自慢げにする海里さんが
零愛のみんな、とても好きだったと思う。
俺も、好きだった。
”お兄ちゃんの顔”
そういうものがいつも漂っていた。
暴走族なんて
「殴る」が当たり前の世界。
そういう世界に居るから尚更
そのギャップが、とても新鮮だったのだ。
と、いっても、海里さんの面倒見の良さは
普段からよく感じていた。
零愛のメンバーを外食に連れて行ってくれた時なんかは男前に全員分奢ってくれたり……。
零愛の総長…海里さんが死んだ。
零愛と対立する暴走族・獄狂乱との
抗争で起こった悲劇だった──────…
どこか夢を見ているような感覚だった。
……夢で、あって欲しかった。
海里さんが死んだ…?
もうこの世に居ない…?
……なんだよそれ。
信じられる訳ねぇだろ。
幼い頃に両親に捨てられ、
ずっと児童養護施設で過ごしてきた俺には
居場所というものが常になかったように思う。
そんな俺に”零愛”という居場所を
与えてくれたのが
総長の藤影海里さん。
海里さんは妹さんの話ばかりする
明らかなシスコンだった。
口を開けば「今日芹奈がなー…」だ。
だけど、妹さんの…芹奈ちゃんの話を
自慢げにする海里さんが
零愛のみんな、とても好きだったと思う。
俺も、好きだった。
”お兄ちゃんの顔”
そういうものがいつも漂っていた。
暴走族なんて
「殴る」が当たり前の世界。
そういう世界に居るから尚更
そのギャップが、とても新鮮だったのだ。
と、いっても、海里さんの面倒見の良さは
普段からよく感じていた。
零愛のメンバーを外食に連れて行ってくれた時なんかは男前に全員分奢ってくれたり……。


