ーーガタン…!

その時。

桃季に手首を掴まれて……
かと思ったらそのまま壁に押さえつけられた。

壁と桃季に挟まれて追い詰められたみたいに逃げ場を失った私はそこから逃げるようにを身をよじる。

「離して…っ!!もう別に…っ、……んっ…」

けど激しく唇を奪われて
思考がプツリ、と停止した。

「聞け……!」

「……っ」

珍しく声を荒らげた桃季に
ビクッと肩が跳ね上がってしまった。

だけどもう……
桃季は声を荒らげたりする事なく…、
消え入りそうな声で言った。

「ひとつ屋根の下だぞ……
どれだけ俺が…、抑えてると思ってんだよ…」

は……?

………………抑え……てた?

「なっ、なんで抑えるの!?そんなに私のこと……っ、嫌いなの!?自分の部屋行く……!!どいて!もう……!!」

半分ヤケクソでその場を去ろうとしたけど、
桃季に強く抱きしめられた。

「お前は…ほんとに……っ」

すぐに、呆れたような声が降ってきた。

「手を……出さないように必死だったんだ。
海里さんの大切な……妹さんだから…」