願わくは愛する人へ

きっとこの世の中は汚いだろう

針のある言葉。
口にしてはいけない言葉。
逃げ出したいという言葉。

そんな言葉たちが、宙を舞う。

うるさい。ものすごくうるさい。
聞きたくない。見たくない。

だけど、世の中は狭い。狭い空間に私たちは置かれてる。聞きたくなくても、見たくなくても、聞いてしまい、見てしまう。


ーねぇ笑 あれだよ。あれ笑
ーあの髪の毛ボサボサな人?笑
ーやば笑 超ウケるんだけど笑

来たか。わかっていた。聞きたくない言葉が自然と耳に入ることぐらい。

無意識に下を向いた。顔を見られたくないし、見たくもなかったから。

ーてか、下向いてて、ウケる笑

聞いたことのある声だった。可愛い声。
小さい頃から聞き馴染みのある声。

遥菜だった。

絶望感がものすごかった。耳を塞ぎたかった。
でも、間に合わなかった。耳から脳に伝わっていく。

嫌だ。なんで?
友達でしょ?
そんなこと言わないでよ。
あなたに言われたら、もうどうしようもない。助けてくれないの?
止めてよ。
息苦しい。つらい。

逃げ出した。我慢なんて無理だった。
自分が今、どんな顔をしてるかなんて、分からない。だけど、きっと酷い顔してる。

心が痛い。居なくなりたい。助けて。
でも、誰にも頼れない自分が憎い。

その時だった。周りが光った。

(ドンッ)

ーあ、ごめん!!大丈夫??痛くない?
 って、蘭奈ちゃん?!

声すら美しい。前を向けない私でもわかる。
その声で安心する。やばい。泣きそう…

目から雫が垂れた。

ーちょ、ごめん!先、行ってて
ーお、おぉ

ー行こ!
ー …え?

私の手を掴んだ。強く握られた。痛かったかもしれない。でも、そんなことはどうでも良かった。関係なかった。その手が私の心を救った。

屋上に連れていき、彼は力ずくで開けた。

ー大丈夫??何があったの?ここには誰もいないから、言ってみな?

嬉しかった。そんな言葉をかけられたのはいつぶりだろうか。

私はさっき、あったことを全部話した。
ついでに今までのことも全て。
彼は涙で詰まった言葉を全て聞き取り、最後まで聞いてくれた。

ー大丈夫。大丈夫だよ、俺がいるから。

ー…え?

ーあぁ、ごめん。いきなりこんなこと言われても困っちゃうよな。そういうことじゃなくて友達として、俺がいるからってこと。

ーあ、あぁ、、ありがとうございます。

びっくりした。いきなりそんなこと言われたら、戸惑うって…

ー落ち着いた?教室、戻れそう?

ーはい。ありがとうございました。

ーまた、何かあったら、言ってね。相談乗る

ーほんとですか、?じゃあ、その時はよろしくお願いします…

ーうん!!じゃ、戻ろっか