「で…ここが…こーだから…この公式」
「あー!わかりました!
大河原さん、天才!」
バイトおわり
バックルームで大河原さんに数学を教わってます
「ありがとうございました
これで明日はバッチリ!…だと思います」
「前から思ってたけど…」
なに?
真剣な話?
「はい…」
なんでしょう?
重大発表?
「オマエ、猫みてーだな」
「へ?猫?」
「オレの横で覗き込む仕草とか…」
気が付いたら
大河原さんにすごく近かった
問題解くのに夢中だった
「あ、スミマセン…」
「メメ…」
猫を呼ぶみたいに
猫に触るみたいに
大河原さんが私の頭を撫でた
ドキン…
息がとまる
「もぉ!からかわないでください」
「別にからかってない」
私は女の子扱いもされなくて
人間でもなくて
猫なの?
「大河原さんだって…
大河原さんは、トラです!
怖いし…
タイガ…って、トラみたいだし…」
「寅年だからね」
「あ、私も寅年です!」
そーだ、同じだった
「チビのくせに…」
「チビチビ…って
そぉやって弱い者をイジメないでください
私、トラ嫌いです」
「ガオー!」
ドキン…
私の好きな笑顔
細くなって消えちゃうつり目
八重歯
牙を剥いたトラが
私に覆い被さった
どーしよう…
冗談でもドキドキする
さっきからずっと
熱い
「私で、遊ばないでください!」
大河原さんは遊びでも
私は…
好きな人に弄ばれたら
傷付きます
私に覆い被さった大河原さんは
優しく私を包んだ
「遊びじゃねーよ…」
「え…」
「オレ、本気だから…」
私に当たる大河原さんの胸も
ドキドキしてる…?



