ハハッと楽しそうに流星が笑う。

「いえいえ、異能だなんて、そんな大それたものじゃないですけど」

「やっぱり君しかいない」
 流星がぐっと力をいれて麗華を抱き寄せた。

(へっ? い、いきなりなにを……)

「ずっと捜していたんだ。〝君〟を。そうか君だったのか」



『いいか流星。言葉にして伝えないと女性には伝わらない』
 悦巳がそう教えてくれた。

 ただし、女性は勘がいいから上べだけでは心に届かず、滑り落ちてしまう。

 言える自信がなかった。形式的な結婚にすぎないはずだったから。

 公園で震えていた麗華を見たとき、胸がきつく締めつけられ、万が一彼女になにかあったらと心からゾッとした。

 考える前に、とっさに抱きしめ、無事を確認しどれほど安堵したか。

 
 今こそ素直な気持ちを口にしようと思う。


「愛している、麗華」

 
 ――心から愛してる。世界中が君の敵になったとしても。

 俺は君だけを愛する。



* 終 *