結納を早めたいと荒鬼家が言ってきたのは、つい先週であるのに。
近くの席の会話が耳に入ってきた。
「そろそろ結婚しろって親がやかましいんだ」
「結婚したらいいだろう? お前の婚約者は美人だし気立てもいいと評判なんだ」
そんな会話を聞くとはなしに耳を傾け、流星はそのまま十メートルほど離れた席にいる荒鬼麗華を見つめ続けた。
華族の子息令嬢は早いうちから結婚相手が決まっている。
二年前に縁談がまとまった流星は、かなり遅いほうだ。
一条家は代々異能を受け継ぐ特殊な家系である。
集中させた気を刀に伝え、常人では斬れない鬼の首を取るという異能だ。
どれほど天才的な剣士でも、流星が持つ特殊な力がなければ鬼は倒せない。それだけに国家的にも貴重な異能とされている。
ゆえに一条家には異能を後世に遺していく使命もある。
結婚相手は身分に関係なく、僅かでも異能がある女性を選ぶ必要があった。
流星の母も僅かだが手を当てると傷口が早く治るという〝手かざし〟の異能がある。
近くの席の会話が耳に入ってきた。
「そろそろ結婚しろって親がやかましいんだ」
「結婚したらいいだろう? お前の婚約者は美人だし気立てもいいと評判なんだ」
そんな会話を聞くとはなしに耳を傾け、流星はそのまま十メートルほど離れた席にいる荒鬼麗華を見つめ続けた。
華族の子息令嬢は早いうちから結婚相手が決まっている。
二年前に縁談がまとまった流星は、かなり遅いほうだ。
一条家は代々異能を受け継ぐ特殊な家系である。
集中させた気を刀に伝え、常人では斬れない鬼の首を取るという異能だ。
どれほど天才的な剣士でも、流星が持つ特殊な力がなければ鬼は倒せない。それだけに国家的にも貴重な異能とされている。
ゆえに一条家には異能を後世に遺していく使命もある。
結婚相手は身分に関係なく、僅かでも異能がある女性を選ぶ必要があった。
流星の母も僅かだが手を当てると傷口が早く治るという〝手かざし〟の異能がある。



