戸松先輩の、お気に入り



うぅ、これは、ヤバくないですか.........?



もし、先輩が私に話しかけてたら、
そーとーヤバいのですが!!



焦りとか、不安とか、色んな感情が混ざって。



(先輩が話しかけたのは私じゃない‼︎)



自分にそう言い聞かせて、
そのまま逃げるように走り出す私。



だけど、私の足では逃げ切れるハズもなく。



──────グイッ!



と、強めに腕を引かれたかと思えば。



「............はぁっ、めぐ。なんで逃げんの?」



ほんの少し、
息を切らした先輩の声が耳に届いて。



そのまま鼻には柑橘系の香りが届く。



「.....................っ、ぅ、」



久しぶり嗅ぐ先輩の香りは、
私に涙を流させるには充分だった............