「…まだ4時か」
日が登る時間が早くなって、街が少しずつ目覚め始める。トラックの排気ガス音や、小鳥のさえずりが遠くの方から聞こえてきた。
仕事に行っていたときは、あと1時間すれば朝ごはんを作って、弁当を作って、洗濯をして…
やることリストを想起しては、
今はやっていない事実にもっとうんざりした。
寝返りをなんとなく打つ。シーツが擦れる音がした。私は包まれている。大丈夫。
眠れるはずないことはわかっていながらも、もう一度まぶたを下ろす。
真っ暗ではない、うっすら明かりを透かして見える。
人類がすべてがシーツに包まれて生きていければ、お互い関わるときに緩衝材があるのに。深く傷ついたり傷つけたりしなくてすむのに。
そんなありえない話を考えていると、また頭痛がしてくる。
重たい体と布団を持ち上げてシンクへと向かう。
街は、世界は私を捨てて回り始めていた。