取り留めのない一方的なおしゃべり。

 それでも七年分の想いが尽きることはなく、気がつくと太陽は西の山に隠れ始めていた。


『帰りのバスは十八時十分が最終だから、乗り遅れないよう気をつけてね』


 バスの運転手さんに言われたことが、頭に浮かんだ。


「そろそろふたりにも、手紙渡しにいくね……」


 立ち上がり、服に付いた埃を両手で払う。

 瞳に映るのは果てしない空と雄大な湖。見渡してみてもわたし以外に誰もいない。


 乾いた風が前髪を揺らす。

 まるで、ここから離れる合図を告げているみたい。