「誰がやった?」


すすり泣きだけが聞こえてくる教室内に充の鋭い声がとんだ。


「誰も、なにもしてない。見てただろ」


修が私の体を抱き起こしながら答える。
私はどうにか立ち上がったが、すぐにふらついて机に手をついた。


「俺たちは全員この教室内にいた。誰もホワイトボードに近づいてないし、潤を消すようなマジックも使えない」


どうにか冷静になろうと、修はゆっくりと説明をしている。
けれどそれは充を納得させられるような内容ではなかった。


「じゃあ、今の出来事をどう説明すんだよ!」


バンッと壁を叩いて威嚇する充に花と彩が体をビクリと撥ねさせた。


「そういうのやめろよ」


修がすぐに止めに入るけれど、充はそんな修を睨みつけるだけだった。


「この中に俺たちを閉じ込めてる犯人がいる。そうとしか思えねぇ!」


普通だったらそう考えてもおかしくはない。
だけど、この施設内ではすでに普通じゃないことが数多く起こっているんだ。
そんな中で常識的な解決方法なんて、ないんじゃないかと思えてくる。


「それなら、充は今日ここで待機してればいいんじゃない?」