私と修は馴れない作業で四苦八苦しながらも誕生日ケーキを作っていた。
食材の中に生クリームがなかったからスポンジケーキだけれど、沢山のお菓子を飾り付けした。
初めて作ったケーキはあまり膨らまずに不格好だったけれど、気持ちだけは沢山込めた。

それから私達は折り紙を使ってあの部屋を丁寧に飾り付けていった。
ドアの御札も窓の御札もすべてとっぱらって、子供が好きそうなカラフルな部屋に仕上げていく。
誕生日プレゼントはみんなの持ち物からひとつずつ拝借して、キレイにラッピングした。
いつかの合宿参加者たちが残していった包装紙があったから、それを使わせてもらった。

沢山の飾り付けに、沢山のプレゼントを用意して、私と修は部屋の電気を消す。
そして、ロウソクを立てたケーキを持って再び部屋のドアを開けた。
ドアを開けた瞬間、足元から寒気が這い上がってきて思わず悲鳴を上げそうになる。
いる。
今ここに、いる。

それがしっかりと理解できる寒気だった。
御札をすべて取っ払ったせいだろう。


「ハッピーバースデートゥーユーハッピーバースデートゥーユー」


恐怖心を抑え込んで歌を歌う。
1年の中で一番ハッピーな歌を。