「ごめん……ごめんな充」


教室に戻ってきてから正志は膝を抱えてずっと泣いていた。
入ってはいけない部屋に入ろうといい出したのは充だった。
消える直前に充はそれを気にして、狂ったように走り出したのだ。

そして、消えてしまった。
正志の胸には今罪悪感が支配していた。


「お前のせいじゃないよな。俺だって、楽しんでたんだ」


いくら謝罪をしても考え方を改めても、肝心の相手には届かない。
大切な親友はもういない。


「いつまでもこうしてても意味がない。次は正志の番かもしれないだろ」


厳しい意見を言ったのは修だった。
修はさっきから正志へ向けて険しい表情を浮かべている。
もう3人しか残っていない上に、正志は消えてしまうかもしれないのだ。
ここまで危機的状況で、いつまでも泣いていてもらっては困る。


「とにかく、もう1度部屋に行ってみない?」
私も正志にそう声をかける。


やれるだけのことはやらないと、このまま消えるのを待つなんて、正志だって嫌なはずだ。
正志は何度か鼻をすすり上げてから顔を上げた。
目が真っ赤に充血している。


「そうだな。なにか、しないとな」