「小説書くやつは、ああいうやつじゃない」という人がいる。
 「ああ」とは副詞。あのように。
 言っていることがわからない。小説書くやつはああいうやつということ自体、初めて聞く。考え方が異常極まりない。小説を書く人は特定の人に限定されると思っている。異常極まりないし、社会的な考え方じゃない。小説を書く人が特定の人に限定されるという考え方はない。
 小説を書くやつがどういうやつか、という考え方なぞない。異常極まりない。
 そもそも小説書くやつなんてやつはこの世に存在しない。
 小説書くやつは、あのようにいう、やつじゃない。
 小説書くやつは、「ああ」いう、やつじゃない。小説書く奴はあのようにいうやつじゃない。
 話者の心情的判断の押し付け。ハラスメント行為、迷惑行為。
 「ああいう」とは連体詞あんな。
 小説書くやつはあんな奴じゃない、ということ。対象者に悪い感情を感じる。エモハラ行為。

 「誰が書いてもいいんやろう」という人がいる。言っていることがわからない。なんのこっちゃ、わからない。どういうわけなのか。
 書いていいとかいけない、とか言っているのだ。小説を書いていいとかいけない、とか言っている。確かに大学教授とかとなると、「小説は大学教授みたいな人が書くもんじゃない」とか言われるだろう。でもその辺のただの人が小説を書いているからといって、めくじらをたてる人はいない。
 誰が書いても許容範囲という意だろう。誰が書いても許せる、承認できる、といった意だ。
 誰が書いてもいいのだろう。許可を求めているということだ。誰が書いてもいいと、許可を求めているわけだ。相手に差しさわりがあるか聞いているのだ。
 つまり他人が小説を書くことは、相手に差しさわりがあるか、ときいているのだ。
 誰が書いても、差しさわりがないか、と聞いている。
 誰が書いてもよいのだろう。
 
 「誰が書いても同じ」という人がいる。