「ダメです。………これで許しなさい」


そう言うと、おーくんの顔が私に近づく。

ちゅっ、とした感触がほっぺに残る。


「なんでハグはだめなの?」

「俺の事情だ」


キスも嬉しいけど、ほっぺだよ?

密着する範囲が大きい方が、満たされる。


「ところで、俺がなんで呼び出したか分かってるだろうな.....?」

「.....あはは.....」


急に怖い顔になったおーくん。

まぁ、呼ばれた理由は想像がつく。


「期末テストの成績、あれはひどすぎるだろ」

「ひぃっ.....。ごめんなさい.....!」

「ごめんじゃなくて、まずいだろぉ」


そう言っておーくんは美桜のほっぺたをもちもちしてくる。


「ほっぺ触んないでよぉ.....」


泣きそうになりながら言う美桜に、おーくんは目を逸らしながら手を離してくれた。


「とにかく! 美桜がこの成績だったら俺は、おばさんとおじさんに顔向けできないんだよ.....!」

「お母さんとお父さんに何かいわれてるの?」


私がそう聞くと、おーくんは真剣な顔になり始めた。


「おう。凰太くんが同じ学校にいるなら、美桜の成績は心配ないな〜だってさ」

「美桜もそうおもってたんだけどな笑」

「笑い事じゃねぇよ。どうするつもりだ.....?」