麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑥/伝説のあの夏…、ファーストレジェンドは奇跡を生んだ!

死闘、果てず/その4
夏美



私達13人は一路、火の玉川原へとバイクを疾走させた

もっとも、昨日の負傷を抱えてドッグスと戦ったあっこには、これ以上無理をさせたくなかったので、私の後ろに乗っけている

そして、午後7時30分過ぎ…

火の玉川原の入り口付近に着くと、1台のタクシーから誰か降りてきた…

「あれ、矢吹先輩じゃないか?」

「そうだ!矢吹補佐だよ…」

本田多美代と片山アカネがほぼ同時に気付いた

「矢吹先輩―!」

「…おお、みんな‼」

本田が声をかけて振り返ったのは、確かに鷹美だったよ!

「鷹美―!」

「先輩…!」

みんなバイクを降り、鷹美にかけ寄って行ってね…


...



「…鷹美!大丈夫だった…?あっこから話は聞いたわ」

「ええ、昨日やられた肩をまた痛めたみたいで…。テーピングで固めてきましたんで、なんとか大丈夫です。だいぶ遅れちゃいましたが…」

鷹美…!

何と痛々しい姿だよ…

「人数はこれだけですが、みな湯本先輩と心はひとつにして、一緒に来ました!」

「そう…。みんな、ご苦労様」

本田がそう言うと、鷹美は一人一人の顔を確かめていた

その表情は落ち着いたものだったが…

鷹美の心中…

おそらくは、悔しさで胸が焼け落ちる思いだろうよ…


...



「ああ、あっこ…」

「鷹美…。今、川原では横田競子が南玉入りを宣下して、たった一人で戦ってるそうだよ。私たちも急ごう…」

「そうなのか…。わかった」

鷹美もあっこも目はらんらんとしてる

だが、まさに二人は足を引きずらんばかりだ…

クソッ…‼

荒子は捕えられた上、主戦派の二人も連日のワナで体をボロボロにされたよ

本郷…、お前はなんという卑劣な手を下したんだ‼

...


「鷹美、私の後ろ乗って!」

「のん子、悪い…」

よし…、鷹美が加わって14人、それに川原で本郷と戦っているはずのケイコ…

正統南玉連合の魂は、この15人で死守するわ!

「さあ、ケイコが待ってるわ。行くわよ!」

私は先頭を切って、火の玉河原の現場へ突進した…