夏の、とても暑い日だった。

気の狂ったような暑さが少し心地よく感じる。

やっと、全てが終わる。

なにか思いがけないようなことが起こって、この世界から救い出してくれる人が現れる。

そんなことが起こるわけないなんてことは、私がいちばん知っていた。

だから、全てを諦めた。

この暗闇に、光がさすことは一度もなかった。

ーーいや、嘘だ。

一度だけ、たった一度だけ、ある。

「じゃあ、一緒に死のうか」

それは、私のたった一人の友達で、親友で、唯一、私という存在を肯定してくれた女の子の言葉。

大好きなその子のあの一言が、私の心の重りをふわっと軽くさせた。


海はどこまでも青く、水面にくだけた太陽がキラキラと輝いている。

「せーの」

私たちはお互いの手をぎゅっと握りしめた。





そして私たちは同時に、地面をけった。