「で、雪乃ちゃんは何も知らない?」
「…私、携帯持ってないから、何も」
「私も、本当のことは分からないんだけどね」
その後、私が聞きたかった本題を
話し始めてくれたのは、紗良ちゃんだった。
「デビューするはずだった子は、
卯月奏斗くん。
雪斗くんと奏斗くんの二人で
最後のデビューメンバーを
絞ろうとしていたんだって」
「…で、今回は、雪斗くんがデビューした」
私が続けるように答えた。
「そう。そこまではいいんだけどね…」
「変な噂が流れているんだよね〜」
「…噂?」
途中まで黙って聞いていた芽衣ちゃんが、
タイミングよく会話に入ってきた。
「雪斗くんは、
お金でデビューメンバーに入れたって」
「…お金…?」
「賄賂ってやつ?」
賄賂なんて言葉、
ドラマとかでしか聞いたことがなかったから、あまりしっくりこなかった。
「ネットでは、すごい言われようだよ」
そう言って、携帯を見せてくれた芽衣ちゃん。
そこには、
目を疑うような言葉ばかり並べられていた。
いわゆる、雪斗くんに対しての誹謗中傷だ。
「これ、雪斗くんも見てると思うんだよね」
「…そっか。教えてくれて、ありがとう」
「全然いいよ!
また、聞きたいことあったらおいでよ」
芽衣ちゃんがそう言うと、
隣にいた紗良ちゃんも笑顔で頷いてくれた。
「ありがとう。じゃあ、またね」
「またね」
「バイバーイ」
そう言って、私は二人の病室から出た。

