「大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
病室に戻ると、
椅子に座っていた雪斗くんが駆け寄ってきた。
「…雪斗くん…」
「ん?何?」
「……泣いたの?」
「え!?…いや、泣いてないよ?」
雪斗くんは嘘をつくのが下手くそだ。
目が真っ赤になってるよ。
「…何かあったの?」
「え…?」
多分、私のことで泣いていたんじゃない。
私が病室に戻った時、
雪斗くんは携帯の画面を見ていたから。
「愚痴でもなんでも聞くよ?
…私には、それぐらいしかできないからさ」
「ありがとう。でも、僕は大丈夫だよ」
そう言って、
作り笑顔を向ける雪斗くんは好きじゃない。
でも、大丈夫って言ったから、
それを信じたいとも思った。
「雪乃、僕そろそろ帰らないと」
「そうだね」
「うん、じゃあまた」
そう言って、病室を出ようとする雪斗くんに今、伝えたいことを伝えた。
「雪斗くん。改めて、デビューおめでとう」
「雪乃、ありがとう」
私が病気だからとかじゃなくて、
人生いつ終わりが来るかは分からないから。
それは、私だけじゃない。
健康な人にだって突然の死があり得るから。
…お母さんみたいにね…。

