「雪乃ちゃん、おはよう」
そう言って、
病室に入ってきたのは、優真先生だった。
「………」
いつからだろうな、
優真先生とも口をきかなくなってしまった。
ただ、私から一方的に。
「ちょっとごめんね」
そう言って、先生は聴診を始める。
そして、隣にいた看護師が
検温と採血をいつものようにしていく。
「雪乃ちゃん、
何かあったらすぐにナースコールで知らせて」
「………」
私が何も言わず、外を見ていると、
先生は病室から出て行った。
「はぁ…」
私は、
極力病室から出ないようにと言われている。
だから、何もしないまま、
ただベットの上で外を眺めて、
一日が過ぎるのを待つ。
お母さんもいつからか、
病室に顔を出さなくなっていた。
私のために、
朝から夜まで毎日働いてくれているから、
来る時間がなかった。
私が病気になんてならなければ、お母さんも
そんなに働かなくても良かったのに、
全部私のせいで、
大好きなお母さんを
苦しめてしまっていた。