あなたの世界にいた私


その後、
またすぐお母さんが病室に入ってきた。


「先生なんて?」


「特に何も言ってなかったよ」


「そう。あ、ごめんね雪乃。お母さん急に仕事入っちゃったからもう行くね」


「…待って、お母さん!」

急いで出ようとするお母さんの背中を見ると、なぜか怖くなった。



このままもう会えなくなるんじゃないかって。


これが最後なんじゃないかって。



「雪乃?どうしたの?」




心配そうに見つめるお母さんに、今のこの気持ちをどう伝えればいいか分からなくて、首を横に振ることしかできなかった。



「じゃあ、行ってくるわね」





「………行ってらっしゃい」



私がそう言うと、
笑顔で頷いて病室を出て行った。



1人になった病室は当たり前だけど静かで、
慣れていたはずなのに。




この広い病室で1人で過ごす。



今までは何も思っていなかったのに、
無性に寂しくなって、1人には広すぎる部屋だってことを今さら感じた。