-ピピッ、ピピッ
「39℃か。…解熱剤追加しといて」
「はい」

先生と看護師の会話を耳に入ってくるものの、
その内容がちゃんと頭に入ってくるかと言われれば、無理だった。

高熱が3週間も続けば、さすがに体も悲鳴を上げていた。

「雪乃ちゃん、一口でもいいから食べれない?」

そう言われ、目の前に置かれている朝ごはんに視線を移す。
でも、食欲がわくことはなかった。

だから、先生の質問に首を横に振る。

「…どうしようか」

すると、先生は、頭を掻きながら考え出した。

雪斗くんに、“またね”と言ってから、3週間。
心配させたくないと言っておきながら、3週間も会いに行かなければ、
誰だって心配するだろう。

「………先生、会いたい…。…雪斗くんに、会わせて」
「雪乃ちゃん…」

先生が難しい顔をするのも分かる。
こんな体で外出なんて出来ないことも、分かってる。
でも、それでも、私は。

「…会って、伝えたい。………病気のこと、自分の口から言いたい」

もう会うのは、最後でいい。
それでもいいから、雪斗くんに知ってほしかった。