「雪斗くん」












「⁉








…雪乃?」











久しぶりに見る雪斗くんは、
少し瘦せている気がした。















きっと、
デビューに向けて必死に頑張っているから。










私は雪斗くんの隣に座り、
空に視線を移した。
















「久しぶりだね」









「……うん…」










雪斗くんはそれ以上何も言わなかったし、
聞いてもこなかった。











「今、どんな感じ?」









今まで、誰かに
興味を向けたことなんて一度もなかった。








でも、雪斗くんだけは違った。














知りたいと思った。







「僕がデビューするのは、
5人組のグループで、
今デビューに向けて頑張ってるよ。













…でも、
デビューが決まっているわけじゃないから、
デビュー候補から外されることだってある」










雪斗くんは、
一度も私の方に顔を向けなかった。











その横顔は、どこか辛そうに見えた。















「……辛い?」










私がそう聞くと、
雪斗くんは少し目を見開いて私の方を見た。













「あ、ごめん。












私、変なこと」










「いや、いいんだ」




そう言う雪斗くんは、微笑んでいた。














「しんどい時もあるけど、
デビューしたいから。
だから、今は頑張らないと」











「そっか。













…応援してる」







「ありがとう。














雪乃は僕のファンだもんね」






そう言って、無邪気な笑顔をする雪斗くんに、
私の心臓がトクンと音をたてた。











雪斗くんに向けられている視線を、
見ることができず、
思わず目を逸らしてしまった。











だって、
本当に綺麗な顔立ちをしていたから。








デビューしたら、
きっと人気になると思う。














何も知らない私が見ても、
雪斗くんから何かのオーラを感じたから。