「…ごめん、それはできない」
でも、
どれだけ願っても、
目の前の何かに縋っても、
返ってきた言葉は、
僕をどん底に突き落とすものだった。
「これは…
…本人の意思なんだ」
「…本人って…
…雪乃が言ったんですか?」
僕がそう言うと、
先生は頷いて僕に紙を渡した。
そこには、
弱々しく、
それでも力強く僕の名前が書かれていた。
「…雪乃ちゃんの言葉を受け止めてあげて」
先生はそう言うと、
何人かの看護師を呼んで、
雪乃と一緒に病室を出て行った。
僕一人残った病室は、静かで、
でも、周りから色々な音が聞こえた。
中庭で子供たちがはしゃいでる音。
廊下から聞こえるたくさんの機械や話し声。
そんな音を背中に、僕は病院を後にした。

