あなたの世界にいた私









ーーーーーーーーーーーーーーーー










『ツアー最終日の次の日、会おう』
















僕がそう言うと、君は嬉しそうに言った。















『…うん…。…会いたい』と。















“約束”だと。


















だから、僕はその時に、
君が見せてくれたみたいに、
僕も君に僕の世界を見せようと思った。
















初めて会った時に、
僕の世界を見せたいと言うと、
君は頷いてくれたから。

















誰よりも、僕の世界を知ってほしかったから。


























でも、それが最後の会話になった。



















ライブが終わって、
工藤先生からたくさんの通知が来ていて、
僕は急いで病院に行った。






















でも、間に合わなかった。





















僕が病室に行くと、
君は、眠ったように横たわっていた。
















いつもと何も変わらない。






















君はただ、寝ているだけだと思いたかった。




















でも、機械は全て外されていて、



















…息もしていなかった。
















「……雪乃…?





















…雪乃?」












何度呼びかけても、
閉ざされた瞼が開くことはなかった。





















もう、僕が何を言っても、
雪乃から返事が来ることはない。



















僕が大好きだったあの笑顔を
見ることもできない。

















そばにあった手を握ると、冷たかった。


















いつもの温かった手を
握ることもできないんだと思うと、
涙が次から次へと溢れ出てくる。















「…うぅ……」







強く握っても、
もう二度と握り返してくれない。
















「…雪乃……」

















名前を呼んでも、
雪乃が僕の名前を呼ぶこともない。


















「……ごめん…。






















…約束…

















…守れなかった」










何より、雪乃に見せると言った、
僕の世界を見せないまま、













雪乃は、
僕の手の届かないところまで行ってしまった。



















悔やんでも、悔やみきれない。





















『時間は永遠じゃない。
















いつかは、終わりが来る』
















今になって、
工藤先生が言った言葉が頭に蘇る。















あの時は、
雪乃が死んでしまうなんて、
考えたくなかったから、
伝えたいことを後回しにしていた。



















もっと、
正面から雪乃と向き合っていればよかった。















そんな後悔ばかりが残っていた。















「……ごめん……」



















何度謝っても、
雪乃が、また目を開けることはなかった。