“死にたい”や、
“生きるのが疲れた”は、
どうしても人の前では、声に出せない。
私よりも、もっと辛い人がいるから。
私なんかよりもずっと、
頑張っている人がいるから。
「…そっか」
彼はそう言って、そっと涙を拭ってくれた。
「…雪乃、
僕の一人目のファンになってよ。
それだけで、生きる理由にならない?」
「…ファン…?」
「そう。
僕ね、今デビューに向けて、
練習生として事務所に所属してるんだ。
だから、僕のファンはまだ一人もいないけど、
雪乃に、一人目のファンになってほしい」
そう話す彼は、真剣だった。
「雪乃がファンになってくれたら、
僕、頑張れるから」
初めてだった。
何もない私に、
生きる理由をくれた人は、初めてだった。
“死にたい”と言えば人は、
その理由を聞いたり、
その人の辛さなんて知りもしないのに、
同情してくる人がほとんどだ。
でも、彼は違った。
理由を聞くわけでもなく、
同情するわけでもなく、
ただ、私に生きる理由を与えてくれた。

