「おはよう、ゆっくん!一緒に幼稚園行こ!」
「おはよう、雪乃。
何回も言ってるけど、
僕はもう幼稚園には行けないよ」
「やだやだ!一緒に行くの!」
朝は、いつもこうだった。
雪乃は、俺のことを同い年だと思っていた。
でも、実際は7歳も歳が離れていた。
多分、小学生の俺は、
背が小さかったからだろう。
学校から帰ってきても、
すぐに雪乃が遊びにきて、
ずっと一緒だった。
でも、雪乃が小学生に上がる頃に、
お父さんの転勤で、
遠くに引っ越すことになった。
俺は、雪乃には、
何も言わずに行こうとしていた。
今まで当たり前に隣にいた雪乃。
でも、これからは、
もう会えなくなると思った時に、
俺は幼いながら、
雪乃が好きだということに気がついた。
小学校低学年ぐらいの時に、
俺が、結婚しようね。
なんて訳も分からず言っていたけど、
この時初めて、本気で、
雪乃を手放したくないと思ってしまった。
だから、別れの言葉を
自分から切り出すことが出来なかった。

