あなたの世界にいた私





-コンコン



何分かして、
ノック音と共に入ってきたのは、
優真先生だった。








「雪乃ちゃん、
そのコートを返しに行くのは、どこまで?」








「ここから30分ぐらいのところにある公園」








私が質問に答えると、
先生は何かを考え出した。










そして、しばらく沈黙が続いた。



















「…分かった」







「え…?」








「その代わり、俺も同行する。





それが条件。







それでもいい?」







私はその問いかけに、頷いた。
















嘘みたいで、信じられなかった。












病室から不必要に
出ないようにと言われているのに、
外出を許可してくれたことが。














「何時ごろ?」







「17時30分ぐらいに公園で会った」








「ん、じゃあ、車で送るから、
17時過ぎにまた来るね」











先生はそれだけ言って、
すぐに病室から出て行った。

















そして、私はコートに視線を送る。














「……会えたらいいな…」










会えるかもわからないけど、
それでもこの時だけは、
会えると思いたかった。


















彼に会えるという幸せで、
胸をいっぱいにしたかったから。














きっと、彼に会うのは最後になる。



















それでもいいから、
この瞬間だけは、
他のことを考えたくなかった。