先輩は切なそうに顔を歪ませてフッと笑った。


「気づいてないフリをしているうちは、咲ちゃんは僕の彼女だと思ってたから。でも気づいちゃったら……。王子くんのところに行ってもいいよ。って言いそうになるから」


「先輩!?」


「だからずっと気づかないフリをしてた。ごめんね、咲ちゃん」


「先輩、ごめんなさいを言うのは咲のほうで」


「あの日も実は偶然会ったんじゃなくて、咲ちゃんの後をつけてたんだ」