そんな資格はない。


きちんと先輩にごめんなさいを言ってから。


きちんと玲菜ちゃんにごめんなさいを言ってから。


それからじゃないと、この手を颯斗の背中にまわせない。


だからいくら颯斗がきつく咲を抱きしめてくれても、咲は颯斗を抱きしめ返すことはできなかった。


ただだらんと両手を下に下げているだけだった。