「なんてね。俺のことを好きにさせるはずだったのに、俺がお前を好きになるとかありえねーよな」


それ、本当?


「咲にはもう彼氏がいるのにな」


それは、言葉のあやっていうか、なんというか。


「忘れて、俺が咲を好きって言ったこと」


そう言って颯斗は自分の部屋のドアを開けた。


「ごめん、咲。今日は勉強を教えてくれなくてもいいや」


パタンと閉じられたドアを見つめて、咲はその場にたたずんだ。